焼け木杭に火はつくか?
月刊文芸誌の連載小説を二本から三本、書評やエッセイといった読物を数本。
時々、読切の中編。
大学を卒業してからの数年間は、そんなペースで仕事をしていた。

そして、そんな良太郎は『作家にしてはイケメン』とも評されていた。
ファッションショーに出るような男性モデルになれるほどではないけれど、そこそこに長身でほどほどに整った顔立ちということもあり、時折、女性誌からもインタビューの申し込みもあった。
書店などでサイン会などを催すと、集まる女性ファンも多く盛況ということもあり、よく企画された。


-良太郎がイケメンってことは、母さんもそこそこイケてるのかしら?


誰が見ても一目瞭然の母親似の良太郎を前に、良太郎のインタビュー記事が載っている女性誌を読んでいた道代が、真顔でそんなことを言い、良太郎を呆れたように笑って見せたが、確かに道代は同級生の友人たちに羨ましがられるほど良太郎が子どものころから美人と評判の母親で、良太郎にとっては自慢の母親だった。
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