焼け木杭に火はつくか?
「あと、オムレツとサラダな」

続けて、トマトソースがたっぷりと掛けられた熱々のオムレツと山盛りのサラダが盛られた皿が良太郎の前に置かれる。
立ちのぼる鼻空をくすぐるその匂いに、良太郎は打ちのめされていたことなど瞬時に忘れ、満面の笑みを浮かべた。

「ありがと。うまそう」

嬉しそうに緩む良太郎の目元に、聡も楽しげな笑みを見せた。

「オムツレの中のチーズとポテト、熱いから気ぃつけろ」
「了解です」
「ベーグルも食べるか? 貰ったんだ」
「食べる。サラダ、ゴーカじゃね? エビとホタテが入ってるじゃん」
「今日のランチに使ったんだよ。ドレッシングは梅ジャム味な」
「うめえ、ジャム?」
「う、め、じゃ、む。梅で作ったジャムだよ。コントは英吾とやりやがれ」
「英吾いないじゃん」
「だからって、オイラとコントやってどーすんだよ。無農薬のいい完熟梅貰ったから、作ってみた」

聡のその説明に、良太郎は感嘆の声を上げた。

「へえ。ホントに何でも作るよね。この梅酒も自家製?」

梅酒ソーダの入ったグラスを傾けながらそう尋ねる良太郎、聡は違うと首を振った。
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