焼け木杭に火はつくか?
「この団地に住んでるって話しは聞いていたんですが、会うのは初めてですね。先月出た『神様にはたよらない』読ませてもらいました。最後、主人公と一緒になって、間に合ってくれって、祈ってしまいましたよ」
突然挙げられた自身の最新作の名と感想に、良太郎は目をぱちくりと瞬かせ「あ、ありがとうございます」と声を上擦らせた。
例え、感想はお世辞だとしても、こんなふうに新刊の名を挙げてもらえたことが、嬉しくもあり、面映ゆくもあった。
「へえ。良太郎の本、ちゃんと売れてるんだな」
「ひでーよ。サトルくん。売れてくれなきゃ困るって」
頬を膨らませて抗議する良太郎に、聡は「あははは」と笑った。
「そりゃ、そうだな。長谷さん。この間、西島っていう、ひょろっとした背の高い男が取材に行ったでしょ」
「ええ。楽しい人ですね」
「あいつも、幼稚園からずっと付き合いが続いてる幼なじみまんですよ」
「いいですね、大人になっても付き合いが続いている、そんな幼馴染みが近くにいるって。羨ましいな」
良太郎と聡を見ながら、長谷は目を細めて笑う。
客商売をしているだけあって、喋り始めると、見た目の印象よりも随分と柔らかな印象になる長谷に、良太郎もようやく自然に笑い返すことができた。
突然挙げられた自身の最新作の名と感想に、良太郎は目をぱちくりと瞬かせ「あ、ありがとうございます」と声を上擦らせた。
例え、感想はお世辞だとしても、こんなふうに新刊の名を挙げてもらえたことが、嬉しくもあり、面映ゆくもあった。
「へえ。良太郎の本、ちゃんと売れてるんだな」
「ひでーよ。サトルくん。売れてくれなきゃ困るって」
頬を膨らませて抗議する良太郎に、聡は「あははは」と笑った。
「そりゃ、そうだな。長谷さん。この間、西島っていう、ひょろっとした背の高い男が取材に行ったでしょ」
「ええ。楽しい人ですね」
「あいつも、幼稚園からずっと付き合いが続いてる幼なじみまんですよ」
「いいですね、大人になっても付き合いが続いている、そんな幼馴染みが近くにいるって。羨ましいな」
良太郎と聡を見ながら、長谷は目を細めて笑う。
客商売をしているだけあって、喋り始めると、見た目の印象よりも随分と柔らかな印象になる長谷に、良太郎もようやく自然に笑い返すことができた。