焼け木杭に火はつくか?
「あーっ もうっ、一生の不覚っ」

下僕たちの前で、こんな醜態を晒すとはっ
夏海は吐き出す息で呻くようにそう言うと、それを聞いた聡と良太郎は笑い出した。

「やっぱり、俺らは下僕かあ」
「オイラなんか、飯炊き小僧くらいにしか思ってねーべ、この姉さんは」
「夜中に茶碗蒸し作らせたんだっけ?」
「おう。カツ丼作らされたときもあるんだぜ。肉持ってきて揚げろって。勘弁してくれよって感じだったぜ」
「すげー。さすが国王様だ」

夏海の一言に端を発して、わいわいとそんな事を言い合う二人を夏海はじろりと睨みつけ、「聡! 焼酎!」と声を張り上げた。

「えぇっ?! そろそろ、オイラの店は閉店」
「何を寝ぼけたこと言ってんのっ これから呑むんでしょうがっ」
「徹夜は勘弁ですよ? オイラ、明日も店を開けるんですから」
「夏海さん、じゃあ、俺はそろそろこのへんで」

こそこそと退散しようとする良太郎の首根っこを、夏海と聡が押さえつけた。
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