焼け木杭に火はつくか?
「ってことは、長谷さんがここに来たときから、夏海さんの元カレだって、サトルくん知ってたんだ」

そんな事、一言も言わなかったよねと、聡の口の堅さに良太郎は感心したようにそんなことを言ったが、聡はそういうわけじゃねえと否定した。

「夏海さんの知り合いなのは知ってたけど、元カレだって確信したのは最近だ」
「最近って、いつ?」
「英吾が長谷さんのとこに取材に行った日」
「はあ?!」

それは最近すぎだろうと、良太郎は苦笑した。

「それまで元カレだって思ってなかったの?」
「聞いてもいねーのに決めつけられねーべ。それに、もしそうなら、わざわざここで店始めるかなあってな」
「あー。それはそうだね」
「で、なんかの話の流れで、オイラ、昔、夏海さんと長谷さんがこの辺りを一緒に歩いているとこ見たんだよなって英吾に言ったら、いつごろかって聞かれてさ」
「へえ」
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