焼け木杭に火はつくか?
家族なら知っていてもおかしくないだろうと、そんなありきたりな疑問が二人の顔には出ていた。
夏海は少しばつの悪そうな顔をしながら、暗黙のその疑問に答えた。
「私、家族に長谷のこと紹介してことないもの」
「だって、二人で来たべよ」
「そう。近くまで来たからね、思い立って連れてきたの。でも、居なかったのよ。ウチの家族」
夏海は遠い目して、かの日を思い返しているようだった。
「みんなで親戚のところに出かけちゃって。家に上がってはもらったけど、誰にも会わなかったの。結局、そのまま紹介しそびれちゃって、母にだって長谷のこと言ってないもの。秋穂が知ってるはずないわ」
予想外の言葉に、良太郎は腕を組んで考え込んだ。
「サトルくんみたいに、どっかで二人のこと見かけた……っていうのも、変ですね」
言いかけて、途中から夏海が首を傾げる理由に気付いた良太郎も、腕を組んで唸り始める。仮に、長谷という恋人のことを知っていたとしても、別れた理由までは秋穂も知らないはずだ。
夏海は少しばつの悪そうな顔をしながら、暗黙のその疑問に答えた。
「私、家族に長谷のこと紹介してことないもの」
「だって、二人で来たべよ」
「そう。近くまで来たからね、思い立って連れてきたの。でも、居なかったのよ。ウチの家族」
夏海は遠い目して、かの日を思い返しているようだった。
「みんなで親戚のところに出かけちゃって。家に上がってはもらったけど、誰にも会わなかったの。結局、そのまま紹介しそびれちゃって、母にだって長谷のこと言ってないもの。秋穂が知ってるはずないわ」
予想外の言葉に、良太郎は腕を組んで考え込んだ。
「サトルくんみたいに、どっかで二人のこと見かけた……っていうのも、変ですね」
言いかけて、途中から夏海が首を傾げる理由に気付いた良太郎も、腕を組んで唸り始める。仮に、長谷という恋人のことを知っていたとしても、別れた理由までは秋穂も知らないはずだ。