焼け木杭に火はつくか?
そうして書き上げた作品は、ある高校に通う演劇部員たちの恋と友情の青春物語。
一言で言えば、そんな内容だった。
出版社宛に、三百枚を超える原稿の束を送った直後は、ものすごい大傑作を世に送り出した気になって、それこそ上機嫌で鼻歌を歌いながら、意気揚々としていた。
けれど、日が経つにつれ、それは喉元を掻き毟りたくなるような、羞恥と後悔に変わり果てた。
思いつくまま、勢い任せで書きなぐったようなものを送ったつもりはない。
自らの高校時代を振り返り、一七歳という年齢の少年少女たちが持つ揺らぎと逞しさ、不安と好奇に彩られたそんな日々を、丁寧に描いたつもりだ。
しかし、それだけの話だった。それだけの物語だった。
彼らが何かの大きな事件に巻き込まれるようなこともなければ、彼らの仲間が死んだりするようなこともない。
悩んだり、笑ったり。
恋をしたり、ケンカをしたり。
進路に悩み、夢を諦め。
ちょっとした日常の謎と、その答え。
そんなありきたりな高校生の日常を、四季の移ろいとともに淡々と描いた物語だ。
物語の山場といえば、一人の少女が祖母から語り聞いたある出来事を元に台本を書き上げ、それを読んだ部員たちが、その上演を巡って意見をぶつけ合う。そんな場面だ。
一言で言えば、そんな内容だった。
出版社宛に、三百枚を超える原稿の束を送った直後は、ものすごい大傑作を世に送り出した気になって、それこそ上機嫌で鼻歌を歌いながら、意気揚々としていた。
けれど、日が経つにつれ、それは喉元を掻き毟りたくなるような、羞恥と後悔に変わり果てた。
思いつくまま、勢い任せで書きなぐったようなものを送ったつもりはない。
自らの高校時代を振り返り、一七歳という年齢の少年少女たちが持つ揺らぎと逞しさ、不安と好奇に彩られたそんな日々を、丁寧に描いたつもりだ。
しかし、それだけの話だった。それだけの物語だった。
彼らが何かの大きな事件に巻き込まれるようなこともなければ、彼らの仲間が死んだりするようなこともない。
悩んだり、笑ったり。
恋をしたり、ケンカをしたり。
進路に悩み、夢を諦め。
ちょっとした日常の謎と、その答え。
そんなありきたりな高校生の日常を、四季の移ろいとともに淡々と描いた物語だ。
物語の山場といえば、一人の少女が祖母から語り聞いたある出来事を元に台本を書き上げ、それを読んだ部員たちが、その上演を巡って意見をぶつけ合う。そんな場面だ。