焼け木杭に火はつくか?
カツカツカツとヒールの音を響かせて、数名の客が笑い声をあげながら、良太郎の後ろを通った。
その声から、先ほどの専業主婦云々の話をしていた女性客たちだと良太郎にも判った。
その瞬間、ぶわんと漂ってきた匂いが鼻の奥にずぅっと潜り込んできて、良太郎は思わず顔を顰めた。
ちらりとレジを見ると、三人組の女性客たちがいた。
三人とも黒い礼服に身を包んでいた。
その様子に、法事の帰りだろうかと考えつつ、それにしてもなあと、また良太郎は顔をしかめた。
彼女たちに営業用の笑顔を見せながら見送っていた聡が、良太郎のその顔に気付き目を細めて笑った。
鼻が曲がりそうって。
こういうときに。
使う言葉だよな。
間違ってないよな。
そんなことを考えながら、良太郎が鼻をむず痒そうに弄っていると、聡が二杯目の珈琲を良太郎に出した。
「ガティマラなんだけど、いつもと違う豆なんだ。飲んでみろよ」
鼻腔をくすぐるその香りに、ようやく、良太郎の鼻が落ち着いた。
「さっきの人たち、よく来るの?」
先ほどの客がいたテーブルを片付け洗い物を始めた聡に、良太郎は珈琲を啜りながら尋ねた。香水が嫌いというわけではないが、匂いがあまりにも強烈過ぎた。
できることならあまり遭遇したくなかった。
その声から、先ほどの専業主婦云々の話をしていた女性客たちだと良太郎にも判った。
その瞬間、ぶわんと漂ってきた匂いが鼻の奥にずぅっと潜り込んできて、良太郎は思わず顔を顰めた。
ちらりとレジを見ると、三人組の女性客たちがいた。
三人とも黒い礼服に身を包んでいた。
その様子に、法事の帰りだろうかと考えつつ、それにしてもなあと、また良太郎は顔をしかめた。
彼女たちに営業用の笑顔を見せながら見送っていた聡が、良太郎のその顔に気付き目を細めて笑った。
鼻が曲がりそうって。
こういうときに。
使う言葉だよな。
間違ってないよな。
そんなことを考えながら、良太郎が鼻をむず痒そうに弄っていると、聡が二杯目の珈琲を良太郎に出した。
「ガティマラなんだけど、いつもと違う豆なんだ。飲んでみろよ」
鼻腔をくすぐるその香りに、ようやく、良太郎の鼻が落ち着いた。
「さっきの人たち、よく来るの?」
先ほどの客がいたテーブルを片付け洗い物を始めた聡に、良太郎は珈琲を啜りながら尋ねた。香水が嫌いというわけではないが、匂いがあまりにも強烈過ぎた。
できることならあまり遭遇したくなかった。