焼け木杭に火はつくか?
「そうなの?」
「レジとかで手を見ると、もっと派手に塗ってる人を見るぞ。キラキラしてるの付けたり、ツートンカラーだったり」
「そうなんだ。女の人の手なんて、そんなマジマジと見ないからなあ」
「ランチのお客さんに多いから、OLさんっていうより主婦さんだな。ウチあたりでランチするお客さんは、ほとんどこのあたり主婦さんだし」
「確かに。お昼にここ来ると知ってる人が多いね」
「夜来る人はお勤めの人が多いけど、案外、お勤めしている人の方が地味だな。まあ、中にはすごい人もいるけどな」
「まあ、仕事によっちゃ、厳しいだろうしね」
「食い物屋は絶対ムリだな。こってこてに塗りまくった爪で、食いもん出されてもな」

肩を竦める聡に、良太郎は「やっぱり、そういうのってダメなんだ?」と頷いた。

「まあ、あんまり派手なのは印象良くないけどさ。カフェとかって可愛い店員さんも多いのに、みんな化粧も薄いしビアスとかもしてないし、地味だなあっていつも思っててさ」
「衛生面考えりゃ当然だべ」

良太郎のそんな疑問に、聡は常識だと言わんばかりの口調で答えた。
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