桜 音
「二年生でしたか。私も普通科の二年生なんです」
私がそう言うと、彼は嬉しそうに微笑んだ。
「そうですか。なら、敬語はやめませんか?」
やめませんかと言っている本人が敬語を使っているという事実に、少し笑ってしまった。
「そうだね。やめよう」
答えると、
「僕のことは依って呼んで」
「なら、私のことも色葉で」
それが私と彼の出逢いだった。
あなたと出逢わなければ、あんなに苦しくて焦がれるような思いもせずに済んだのに。
けれど出逢ったのは運命のせい。
そう、あなたはいつも言っていた。
ああ。桜が、怖いくらいに綺麗。