紺碧の海 金色の砂漠
「婚姻前という噂だ。まさに、アズウォルドは楽園だな。それに比べれば私たちは夫婦なのだから。誰も文句は言うまい」


楽園てそういう意味じゃないんじゃ……。

言い返す間もなく、理性を溶かすようなキスが舞を包み込む。確かに、三六〇度どちらを向いても人影はなさそうだった。青い海、白い空に囲まれ、開放的に砂浜の真ん中で……。


(エッチしたいなんて言ってないってばーーっ)
 

「ム、ムリ! 絶対にムリだって。集中できないよ」


ミシュアル国王の唇が首筋を這い、手が腰からヒップ、太腿と撫で始めたとき、舞は泣きそうな声で伝えた。

すると、彼はため息をひとつ吐き「仕方あるまい」と口にする。そして今度は唐突に舞を横抱きにした。砂浜の上を飛ぶように走り、階段を駆け上がる。

ヴィラに飛び込むと、さっきの女性バトラーの気配はどこにもなかった。


「舞、寝てはおるまいな」


さすがに少し荒い息で、ミシュアル国王は尋ねた。

舞は気圧されるようにコクコクとうなずく。彼はさも嬉しそうに、天蓋から下がったレースのカーテンをくぐり抜け、ベッドに舞を下ろしたのだ。

そして、ミシュアル国王はトーブを脱ぎ捨てる……その下は舞より身軽な格好であった。

しかも、昨夜からその状態を維持してたの? と聞きたくなるような、立派なジャンビーアがそそり立っている!
 

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