紺碧の海 金色の砂漠
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「舞、眠ったのか?」

「え? ……あ、ちょっとウトウトした。でも、大丈夫よ」
 

昼食と夕食の時間以外はすべてベッドの上で過ごしている。


(セルリアン島のリゾート・スパを貸し切る必要ってなかったんじゃ……)


密かに舞が疑問を持ち始めたころ……。

疲労困憊で浅い眠りに引き込まれそうになった舞に、ミシュアル国王は声をかけた。


『“アルワァドゥ サハーブン ワ アルフィアル マタル《言うは易し、行なうは難し》”だと知っている。だが私は、すべての敵からお前を守り、あらゆる困難を排除して、共に歩く未来を約束する。――アッラーの神に誓って』
 
「ア、アル? 最後しかわからなかったんだけど……」

「この命尽きるまで、抱くのはお前ひとりだと誓ったのだ……不満か?」


舞はゴクリと唾を飲み込んだ。


「ふ、不満じゃない。けど、今夜はこれくらいで眠って、また明日ってことで」

「安心致せ、舞。お前はゆっくり眠るとよい」

「それって、どういう意味?」

「知りたいのであれば、教えてやろう――」


眼下に広がる紺碧の海で泳げる日は果たして来るのだろうか?

そんなことをチラッと考えつつ……舞は、琥珀色に艶めく情熱の海に身を投じた。




                    紺碧の海 編 ~fin~




 ――金色の砂漠 編へ続く――

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