紺碧の海 金色の砂漠

(3)恋の病にかかったら

(3)恋の病にかかったら



「三回、十秒以上続けてレイを見ていたな」


王宮正殿の最上階にある国賓室に通され、ふたりきりになった途端、ミシュアル国王がぶちぶちと言い始めた。


「だって……ほら、海のように深い青色の瞳なんて珍しかったんだもの」


舞は必死で考えながら答える。レイ陛下って優しそうで大人の男性って感じよねぇ、なんて言おうものなら……考えたくない。
 

「ねぇねぇ、コレって地下水なんだって! 凄いよねぇ、部屋の中で噴水なんて。しかも、ここ四階だよ」


舞は話を変えるべく、部屋の中央にある噴水に近寄った。

地下水をポンプで汲み上げ、循環させて建物全体を冷却させているらしい。階下には廊下の中央に小川が流れているとか……。他の場所は駄目だが、この噴水の水は飲んでも構わない、とか。

案内してくれた王宮の女官長がニコニコしながら説明してくれた。


そっと手を水の中に差し入れる。地下水というだけ結構冷たい。舞は両手ですくい、口につけた。


「おいしい! なんとかのおいしい水みたい!」


ミシュアル国王もこれ以上文句を言っても無駄と思ったのか、


「ほう、だったら私にも飲ませて貰おうか」


そんなことを言いつつ舞の手に口を付けてきた。そんなにたくさんすくえる訳はないので、ほとんど残ってはいない。水滴を舌先で舐め取ると「少ししょっぱいな」などと呟く。


「あ、当たり前でしょ。そんなの自分で……」


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