紺碧の海 金色の砂漠
~*~*~*~*~


「クアルンに帰るって……何かあったの? ひょっとして、お父様の身に」


ちょっと本島に戻り用事を済ませてすぐに戻る。ミシュアル国王はそう言って舞をセルリアン島に残して行った。だが、昼はとうに過ぎ、陽が傾いても戻ってくる気配はまるでない。

最初は、


(アルと一緒だとエッチばっかりだし、たまには独りでノンビリしたいよねーっ!)


などと浮かれていた舞だったが、やっぱり新婚。エッチなことを仕掛けてくれない旦那さまがいないと寂しい、と思い始めていた矢先だった。

ミシュアル国王から帰国を告げる電話が掛かったのだ。


「そうではない。父上はご無事だ。国王の判断が必要な事案が発生した。そのための帰国だ」

「わ、わかった。じゃあ、すぐに用意するから……」


元々が、体調の優れない前国王ために譲位を急いだ結婚だった。クアルン王室では、愛妾や側室ではなく、夫人がいなければ即位できない決まりなのだ。

最初はそのことに不満を感じた舞だったが……。


(まあ、渡りに船っていうか。アルはラッキーと思って求婚してきただけだもんね)


それでも、ミシュアル国王は舞を正妃にするために奔走した。そのことを知った今となっては、過去をほじくり返して文句を言うつもりなんてさらさらない。


「いや、お前はこのままアズウォルドに滞在するように」

「え? だって新婚旅行なんだよ。アルが帰国するならわたしだって」


< 136 / 243 >

この作品をシェア

pagetop