紺碧の海 金色の砂漠
「してないってば。ちょっとしたトラブルというか……想定内のアクシデントっていうか。そう、自然災害かな。でも、トクに問題はないから」
舞が釈明すればするほど、ヤイーシュだけじゃなく、シャムスも不安そうな顔になる。
「いや、ホント、ホントだってば」
あはははは……と舞ひとり、声を立てて笑ったのだった。
結局、シャムスは初めて国外に出て、時差を経験したので休ませて欲しいと申し出て、舞はそれを許した。
ヤイーシュも怪我の具合があまりよくないらしく、隣のヴィラで“療養”するのだという。
(ヤイーシュは日本にいたんだよね? なんで怪我なんか……)
尋ねたくても相手がおらず、逆に舞のほうが悶々と夜を過ごすことになり――。
「申し訳ございません。どうやら、時差に身体が馴染まぬようです。でも、慣れたら大丈夫だと思いますので……ところで、アーイシャ様が日本にお住まいの時は、いつもあんな水着を?」
ようやくシャムスが口を開いた。
ホッとして舞も笑顔になる。
「まさか! 学校で着たスクール水着がせいぜいだって。ビーチで遊ぶのだって今回が初めてだもの。今思えば、アルっていう婚約者がいたから、人前で水着やレオタードは着せてもらえなかったんだろうなぁ」
バレエの発表会には出させてもらえず、結局すぐにやめてしまった。
それ以外にも、不思議なことに、舞の通う女子校では男性教諭はすべて既婚で五十代以上。体育教師もずっと女性だった。
舞は少し表情の和らいだシャムスを楽しませようと、そんなことを一生懸命に話す。
舞が釈明すればするほど、ヤイーシュだけじゃなく、シャムスも不安そうな顔になる。
「いや、ホント、ホントだってば」
あはははは……と舞ひとり、声を立てて笑ったのだった。
結局、シャムスは初めて国外に出て、時差を経験したので休ませて欲しいと申し出て、舞はそれを許した。
ヤイーシュも怪我の具合があまりよくないらしく、隣のヴィラで“療養”するのだという。
(ヤイーシュは日本にいたんだよね? なんで怪我なんか……)
尋ねたくても相手がおらず、逆に舞のほうが悶々と夜を過ごすことになり――。
「申し訳ございません。どうやら、時差に身体が馴染まぬようです。でも、慣れたら大丈夫だと思いますので……ところで、アーイシャ様が日本にお住まいの時は、いつもあんな水着を?」
ようやくシャムスが口を開いた。
ホッとして舞も笑顔になる。
「まさか! 学校で着たスクール水着がせいぜいだって。ビーチで遊ぶのだって今回が初めてだもの。今思えば、アルっていう婚約者がいたから、人前で水着やレオタードは着せてもらえなかったんだろうなぁ」
バレエの発表会には出させてもらえず、結局すぐにやめてしまった。
それ以外にも、不思議なことに、舞の通う女子校では男性教諭はすべて既婚で五十代以上。体育教師もずっと女性だった。
舞は少し表情の和らいだシャムスを楽しませようと、そんなことを一生懸命に話す。