紺碧の海 金色の砂漠
ティナの言うとおりだった。

ミシュアルは自国で起こるかもしれない暴動の気配を察して、正妃を守るためアズウォルドを新婚旅行の地に選んだ。

彼がレイに頼んだのは舞の安全。その条件に、アズウォルドの石油輸出国機構(オペック)正式加盟に尽力する、と伝えてきたのだ。


「どれほどのことが起こっているのか、私にはわからないけれど……。今日はマイのところに行くのでしょう? あなたが笑顔でないと、マイが不安になると思うの」


ティナの優しい言葉にレイは心のしこりが解けていくのを感じた。


「それは大変だ。じゃあ、私を笑顔にしてくれるかな?」

「私が? 何をすればいいの?」

「そうだな。まずはダーリン、唇にキスを……愛情を籠めて、優しく、情熱的に」


レイの言葉にティナは呆れたように首を振る。


「なんて注文の多い王様かしら」


軽く微笑むと、彼女は愛情を籠めたキスから始めたのだった。


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