紺碧の海 金色の砂漠
舞がミシュアル国王と一緒に、ヘリでセルリアン島に入って一週間が経つ。

実質、丸四日間をふたりきりで過ごした。


「とくに船や車を使った様子もないが、館内施設だけでは退屈だったのではないかな? ミシュアルは有能だが気の利くタイプではないし。ふたりで何を……」


言われてみれば、何をしていたんだろう? と考え……二秒後に、舞は顔から火を吹いていた。

すると、


「レイ、あなたも少し気が利かないわ。おふたりは観光旅行にいらしたわけじゃないのよ」


頬を薄っすらとピンクに染め、ティナはレイ国王の袖を引っ張っている。


「ああ、失礼。確かにそうだ。随分前のことなので、うっかりしていた」

「あら? まだ二年しか経っていないのに?」


ティナが少し唇を尖らせて答える。その仕草がなんとも可愛らしい。

レイもそう思ったのだろう。苦笑して自分の席から身を乗り出すと、彼女の手を握り……。なんと、頬にキスをしながら、


「もう二年だよ。それも半分以上が公務という実に慌しいハネムーンだった。今度はもう少し、ふたりでのんびりしたいものだ。シーク・ミシュアルに砂漠でも案内してもらうとしよう――アーイシャ殿からも頼んでもらえるかな?」


軽くウインクして舞を見る。


< 162 / 243 >

この作品をシェア

pagetop