紺碧の海 金色の砂漠
(な、なんて……手馴れた、というか……スマートな王様なんだろう。さっすが、プレイボーイ・プリンスって言われただけのことはある!)


ついこの間、別れる別れないで大騒ぎしたカップルとは思えない。

いや、騒いでいたのはティナのほうだけって気はしないでもないけれど……。

ティナはレイ国王の言葉ですっかり気を良くしたらしい。ご機嫌な表情で彼をみつめている。


「素敵だわ。でも、砂漠って夜は寒いんじゃないかしら? サソリや毒グモとかも怖いのだけど」

「国にもよるが……大きな砂漠は中央に向かうほど、昼夜の気温差が広がる仕組みになっている。町に近い場所なら、おそらく大丈夫だ。それに、砂漠の生物は基本的に夜行性だから、夜はテントでおとなしくしていたら安全だと教わった。ティナ、君はオアシスで泳いでみたいとは思わないかい?」


レイ国王の言葉に、舞は感心していた。


(へぇ~口説き文句が上手なだけじゃないんだ! 見た目も頭も良くって、優しいときたら……そりゃ、ティナくらい美人でも不安になるよねぇ。よかった……アルはカッコいいけど、性格に問題ありだから)


両国王が聞いたら卒倒しそうなことを考えつつ、舞は目の前でいちゃつくふたりを幸せな気分で見ていた。

すると、


「ねえ、マイ。マイはオアシスで泳いだことはある? 楽しい経験だった?」

「え? ええ、ありますよ。えっと、あのときは……」


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