紺碧の海 金色の砂漠
全裸でオアシスの泉に入らされ、ミシュアル国王にさんざん恥ずかしいことをされて、挙句の果てに、盗賊団に攫われた、という。

この珍しい経験は――とても一言では説明しきれない。


「……楽しかったです……。えーっと、裸で泳ぐのがちょっと恥ずかしかったかな」

「まあ、裸で泳がないとダメなの? それはイスラムの教義なのかしら?」

「いえ……たぶんアルの、アル=エドハン一族のルールなんだと思いますけど」


舞が答えると、横からレイ国王が口を挟んだ。


「それは初めて聞いたな。数年前に一度、私が招待されたときは、下着のような布を巻いて入った記憶がある。男たちだけだったが……どうやら彼は、私が知るより策士なようだ」


そう言うとレイ国王はクスクス笑っている。


(ア、アルのばかぁーーっ! オアシスには裸で入るもんだ、とか言って。ウソツキのスケベシーク!)


そのとき、飛行艇の最後尾から吹き出すような小さな笑い声が聞こえた。


「何か言いたいことでもあるの? ミスター・キャラハン」


舞が座席越しに視線をやると、そこにヤイーシュが座っていた。


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