紺碧の海 金色の砂漠
~*~*~*~


「大丈夫か!? 怪我はないか? 返事をしろっ!」

「ア、アル? アル……アル……アレ?」
 

発砲音のあと、舞の耳に聞こえてきたのは間違いなくミシュアル国王の声だった。

そして腕をつかまれ、舞は彼に抱きついたのだ。だが、どうも……何かおかしい。


(声は同じなんだけど、なんか……違う気がする。胸板の厚さとか……それに、砂漠の匂いがしないような……?)


舞は体を離し、助けてくれた男性の顔を見上げた。

暗がりにミシュアル国王と同じ、琥珀色の瞳が光った。――やっぱりアルだ。と思った直後、髪の長さが違うことに気がつく。それに、色も真っ黒に見える。

ミシュアル国王はチョコレート色なので、暗がりでも仄かに明るいのだ。

加えて、見上げる首の角度が低め。普段は真上を向くようになるはずで……。


「あ、あの……どちらさまでしょう?」

「その前にすべきことがある」


声は恐ろしいほどミシュアル国王に似ている。目を閉じて聞いていたら、わからないくらいに。


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