紺碧の海 金色の砂漠
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「えっと……この度はお招きいただき、光栄に存じ上げます」


王宮内では堅苦しくなるから、と王宮の後方にあるセラドン宮殿に舞は招かれていた。

招いてくれたのはクリスティーナ王妃。

そこは小高い山の中腹辺りに位置していた。名前を聞いたとき、「怪獣の名前?」と思った舞だが……。

よくよく聞くと、建物全体が灰色を帯びた青色、上品な青磁色《セラドン》に見えることから宮殿の名前になったそうだ。

青磁と言われた途端、もの凄く高価な建物に見える、と素直な感想を舞は抱く。


「お疲れのところ、と思いましたが、到着早々おひとりは寂しいのではないかと思って……」


明るい陽射しに満たされたリビングに通されソファに腰かける。

すると、入ってきたメイドがガラステーブルにコースターを敷き、その上に大きなグラスを乗せた。

グラスにはたくさんの氷と薄茶色の液体が入っている。

「ムギチャでございます」と言われ、舞は感激だ。


「恐れ入ります。お心遣い、たいへんありがたく感謝もうし……もうす? 感謝たてまつり……アレ?」


(駄目だ……日本語も危ういなんて、わたしってば本気で馬鹿なんじゃないのっ)


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