紺碧の海 金色の砂漠
「申し訳ない。衛兵たちに大使館員は通すな、と伝えたのだが、ミシュアル国王の側近はノーチェックで通すようになっていた。妃殿下にお怪我がなくて何よりです」
何よりだと言うレイ国王の顔色が真っ青だった。
彼は舞の隣に立つ笹原に目を留め、
「ミスター・ササハラ、君の機転に感謝する」
短く礼を口にする。
「いえ。勝手な真似をして失礼致しました。身元を確認してから、明日、アーイシャ妃にご挨拶を、と言われていましたのに。何卒、お許しください」
この笹原は仕事でアメリカに入国していたが、そこからアズウォルドに予定外の緊急入国をしたのだという。
(別に途中で寄り道くらい……)
と舞は思ったが、そう簡単にはいかないそうだ。
彼のように、王子の称号を持ちながら多国籍、という微妙な立場の人間はそう多くない。というか、反乱軍に国を追われて亡命するような人物と同じ扱いになり、滅多にいない。
公式にボディガードなどはつけられないが、彼の身に何かあれば国家的な問題に発展する。
行く先々で、笹原の行動は常に監視されていた。『安全に配慮して』といえば聞こえは良いが、まるで刑事事件の容疑者のようで居心地は悪いだろう。
何よりだと言うレイ国王の顔色が真っ青だった。
彼は舞の隣に立つ笹原に目を留め、
「ミスター・ササハラ、君の機転に感謝する」
短く礼を口にする。
「いえ。勝手な真似をして失礼致しました。身元を確認してから、明日、アーイシャ妃にご挨拶を、と言われていましたのに。何卒、お許しください」
この笹原は仕事でアメリカに入国していたが、そこからアズウォルドに予定外の緊急入国をしたのだという。
(別に途中で寄り道くらい……)
と舞は思ったが、そう簡単にはいかないそうだ。
彼のように、王子の称号を持ちながら多国籍、という微妙な立場の人間はそう多くない。というか、反乱軍に国を追われて亡命するような人物と同じ扱いになり、滅多にいない。
公式にボディガードなどはつけられないが、彼の身に何かあれば国家的な問題に発展する。
行く先々で、笹原の行動は常に監視されていた。『安全に配慮して』といえば聞こえは良いが、まるで刑事事件の容疑者のようで居心地は悪いだろう。