紺碧の海 金色の砂漠

(16)涙は流さない

(16)涙は流さない



「アーイシャ殿、今、こちらも大使館を通じて事実確認を急いでいる。政府の発表と言われているが、どうやら王室の長老会議の発表と受け取ったほうがいいようだ。とにかく、正確な情報を入手するまで、いたずらに悲しまないように……」
 

レイ国王がそう言って舞を励ました直後、背後で狂気めいた笑い声が上がった。

ダーウードだ。

彼は手錠をはめられ連行されながら、


『イン・シャーアッラー! クアルン王国万歳!』


呵呵大笑と勝ち誇った声でアラビア語を叫ぶ。

レイ国王は警備兵に小さな声で「黙らせろ」と命じた。


舞は国賓室から王宮に移るように言われ、素直に従った。

笹原は何か言いたそうだったが、レイ国王に明日にするよう言われ、彼もおとなしく引き下がったのである。


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