紺碧の海 金色の砂漠
(ダーウードも呑気に笑っちゃって、バッカじゃないの!? あのアルが簡単に死ぬもんですか!)


ハッキリ言って、舞は全然信じていなかった。

彼は言ったのだ――『必ず戻る。それまで、おとなしく待つように』と。


「アルが戻るって言ったんだから、ゼッタイ迎えに来るに決まってるじゃない!」


舞はあえて大きな声で言った。

誰に聞かせるつもりじゃない。ただ、自分の心にちらちら顔を出してくる弱気の虫を、思い切り叩き伏せたかっただけだ。
 

そして、長くて苦しい、怒涛の一日が始まる。



まず、文字通り飛行艇で飛んできたのがヤイーシュだった。

シャムスは朝になって事態を聞き、舞のもとに駆けつける。そして顔を見るなり、抱きついて泣きだしてしまう。


「陛下が……陛下が……」


そう口にしたまま言葉にならない。


「シャムス? ねえ、ちょっと落ちつこうよ」


舞はシャムスを宥めようと声をかけるが、


「アーイシャ様はどうしてそんなに落ちついておられるのですっ!」


逆に怒られる始末だ。


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