紺碧の海 金色の砂漠

(19)愛しさをプレイバック

『いかなる問題が起ころうと、国を逃げ出すような王に王たる資格はない』


そう言ってミシュアルが帰国してから、すでに丸五日が経過していた。


クアルン王国の政府は他国の問い合わせに対して、どこか足並みのそろわない回答を繰り返している。


『新国王選定中』


ハーリファ王室の長老会議だけが、そんなコメントを出していた。

もちろん舞にも、カイサル元国王の名前で帰国要請が届いた。だがそれは、あくまで“要請”。なぜ“命令”ではないのか、笹原やヤイーシュにもわからないという。

舞は、『王命により、アズウォルド王国に留まります』とだけ返事をした。

それに対する答えはまだ戻ってきていない。


< 213 / 243 >

この作品をシェア

pagetop