紺碧の海 金色の砂漠
なんとなく“泣いていいよ”って目で見られると、意地でも泣くもんか、と思ってしまう。


(わたしってひょっとして性格悪いかも……)


舞はスックと立ち上がると、パラソルの下から出て海に向かって叫んだ。


「アルの馬鹿ーっ!! 王妃の肩書き放り出して、日本に帰っちゃうぞーっ! もっといいオトコ見つけて、再婚しちゃうんだからねーっ! アル……アル……戻っ」


グッと涙がこみ上げてきた瞬間――

バケツをひっくり返したようなスコールが舞の頭上に降り注いだ。


(こ、これじゃ、泣くに泣けないってば……)


いつかのコテージで降り続いた雨とは違い、普通のスコールは二十分くらいですぐに止む。

そのときにはもう涙は引っ込んでいて、泣く代わりに舞は空を仰いで叫んだ。


「こんなときに、雨なんか降らさないでよねっ! 神様のばっかやろうーーっ!」



刹那――

もの凄い衝撃と音が、舞の耳に飛び込んできた。
 

(な、なに? 神様の仕返し? それともクアルンから攻めてきた?)


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