紺碧の海 金色の砂漠
舞はハッとして大きな声をあげる。

思えば、ターヒルのことをすっかり忘れていた。 


「もちろん無事だ」

「よかった。じゃ、シャムスに教えて……」


そう言って起き上がろうとした舞の体を、ミシュアル国王が引き止める。


「舞。お前が気を失って何時間経ったと思っている? ターヒルは今、シャムスの傍についている。邪魔をするつもりか?」
 

言われて見れば……。

最初に舞たちが使っていたのとは別のヴィラだが、間取りはほぼ一緒だ。外はかなり暗くなっている。ひょっとしたら、夜中かもしれない。


「すぐに帰国する予定であったが、お前を眠らせてやりたいと思い、一日延長した。今はもう深夜だ」


かなり眠っていたことを知り、舞は愕然とする。 


「ご、ごめんなさい。ところで、アルは平気なの? 怪我とかしてない?」


ヘリが墜落したとかなんとか。しっかり聞かなかったが、そんなニュースだったような……。


「私は傷ひとつない。ターヒルは抵抗したらしく怪我を負ったが、命には別状ない。一連の事件で一番の怪我人はヤイーシュであろうな」

「あの……ダーウードのこと、聞いた?」


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