紺碧の海 金色の砂漠
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「え? じゃあ、ヘリって落ちてないの?」

「あたり前だ。ヘリが墜落していれば、さすがに無傷では戻れんだろう」


ミシュアル国王の大きな胸を背もたれにして、舞はクアルンで起こった出来事を聞いていた。


「本当にお父様もお母様も、ラシードたちも無事なのよね?」

「静養中の父上たちなら、何が起こったのかも知らぬだろう。ライラの母、サマン殿も同様だ。そもそも、リドワーン自身が何も知らずに動いていたのだからな。ただし、今回の件で長老会議の半数はメンバーが入れ替わることになったが……」



あえて『主犯』を上げるならダーウードだった。

彼をはじめとする、クアルン王族の純血主義を復活させたい面々が、画策していたという。共犯とは言いがたいが、水面下で彼らの火を煽っていたのが長老会議における純血主義のメンバー。

最初の火種は日本人の血をひく王子の誕生からはじまる。

しかし、それが確実に燃えはじめたのは、やはりミシュアル国王が王太子に就いたときだろうか。

そして、即位するだけならまだしも、日本人正妃を迎えて……。

彼らの不満は一気に爆発した。


クアルンの王に流れる血は、純粋なアラブ人のものでなければならない!

ダーウードをはじめとする彼らの主張はそうなる。


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