紺碧の海 金色の砂漠
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王宮から市街地に入るまで、なんとオープンカーでパレードが行われた。

本当なら歓迎パレードになるはずだったらしい。でも、入国時は反日組織に舞が狙われる可能性もあり……。取り止めになったことを舞は初めて聞かされた。

クアルン側の問題が一件落着したので、帰国の見送りパレードになったとか。
 

ミシュアル国王に関する報道はすべて誤報。アズウォルド国内で起こった騒動など、国民は一切知らない。

彼らは、遠い砂漠の国からきた国王夫妻に「また来てください!」と口々に言いながら、三ヵ国の国旗を振ったのだった。



二週間前と同じように、レイ国王夫妻は海上エアポートまで見送りにきてくれた。


「アーイシャ殿。大変な滞在になりましたが、どうぞこれに懲りず、また我が国にお越しください」


王室専用と言われる待合室は、周囲の者が気を利かせ、四人だけだった。

舞はレイ国王に握手を求められ、隣に立つミシュアル国王がうなずくのを見て、それに応じたのである。


「色々、ご迷惑をおかけしてしまって……。本当にありがとうございました」

「いえ。ティナが元気を取り戻したのは、あなたのおかげですよ。いや、あなたたちの、と言うべきかな」

「そ、そんな……。わたしたちは別に」

「おふたりのとんでもない仲の良さにあてられました。それから、アーイシャ殿の行動力には敬服します。……ああ、これ以上手を握っていたら、彼に決闘を申し込まれそうだ」
 

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