紺碧の海 金色の砂漠
レイ国王は苦笑しながら手を離した。

たしかに、腕を組んでこちらを睨んでいる。


(まさか……十秒以上、握手していた、とか言ってエッチなことするつもりなんじゃ……)


入国当日の出来事を思い出し、舞はなんとなく赤くなった。

その横を、ミシュアル国王がすり抜け、


「レイ……ダーウード以下、逮捕された同胞の件だが……」


ミシュアル国王が差し出した手を握りながら、レイ国王は答えた。


「わかっている。調書をとり、身元確認と罪状が確定すれば、こちらでの捜査は完了する。証拠とともに、クアルン国人は全員引き渡そう。我が国民に被害者はいないので、問題はない」


その言葉に、ミシュアル国王は安堵した表情を見せ、 


「このたびの一件、アズウォルド王国の協力に深く感謝する。私は恩に報いる男だ。それをぜひ、証明したい!」


かなり盛り上がった様子で声を大きくした。


一方、レイ国王はどことなく及び腰で、


「ああ、いや……例の件で尽力してもらえればそれで……」

「もちろん、石油輸出国機構(オペック)の件は任せてくれ。だが、それだけでは礼が足りない!」
 

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