紺碧の海 金色の砂漠
舞をはじめ、一同が何を言い出すのだろう、と首をかしげていると、彼はとんでもないことを言い始めた。


「君の第一王女を、私の第一王子の正妃として迎えることを約束する!」


などと高らかに宣言したのだった。

舞はなんと言っていいのかわからない。第一王子なんて今のところどこにもいないし、そもそも、レイ国王に娘が生まれると決まったわけじゃないのだ。


「シーク・ミシュアル……気持ちがありがたいが、私に娘しか生まれなかったときは、第一王女が女王となる。残念ながら、その約束は」

「そのときは、我が王子を王配として送り出そう」

「ア、アル? 王子がひとりだったら、どうするつもり?」


舞が横からコソッと口を挟むが……。


「たとえそれでも約束は約束――誓いは必ず守る! 私の息子も同じだ!」


ミシュアル国王は胸を張って言い切った。

舞は不覚にも、カッコいい……なんて見惚れてしまいそうになったが、慌てて首を振る。そんな、勝手に決められては堪らない。


だが、そう思ったのはレイ国王も同じだったようだ。


「残念ながら、私は王室法改正にあたって『国家間の問題の解決に王族の婚姻は利用しない』と宣言した。この先、いかなる理由があろうとも、自分の子供に結婚を押し付けるつもりはない。だが、君の友情はありがたく受け取ろう。もし、遠い未来に私たちの子供が結婚を望んだとき、それにどんな障害があったとしても、反対しないと誓ってくれ」


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