紺碧の海 金色の砂漠
このアズウォルドは混血が多く、現在も国際結婚が多い為、様々な印象の人たちで溢れている。

ちなみにこの歓談に出席しているのは、レディ・チカコの娘マリナ王女と、リューク王子の妻リハンナ妃、その娘のローザ王女、ミシガン王女、そしてルシール王女の娘レディ・アンナの七名であった。

ティナが二十六歳、ミシガン王女とレディ・アンナが三十代、他は全員四十歳は超えている。ようするに、この中で断トツに舞は若いことになる。


チカコはそんなルシール王女にも文句を言い始めた。


「あら、ルシール様のお嬢様、アンナ様にもおふたり目とか。おめでたいお話ですのに、どうして話題になさいませんの? あれほど子供好きでお優しい陛下でしたのに、最近では臣下の子供を王宮に呼ぶこともなくなったとか……」


言葉に詰まるルシール王女に代わって、隣に座った黒髪の女性――レディ・アンナが声を上げた。


「そんなことはありません! 陛下はつい先日も、息子ブライアンの誕生日にアジュール島までお越しくださいました。クリスティーナ様と一緒に選んだというお祝いを持って」

「まあまあ、王妃様はご一緒なさいませんでしたの? アジュール島はおふたりでよく行かれてましたのに?」


わざとらしい嫌味に舞の怒りはメラメラと燃え上がる。


「加減がすぐれませんでしたの。それだけです」

「お加減が? では、いよいよおめでたかしら?」

『王妃ったって繁殖牝馬じゃないんだからね! そんなポコポコ産めるわけないじゃないっ!』


舞は思い切ってアラビア語で怒鳴った。


< 51 / 243 >

この作品をシェア

pagetop