紺碧の海 金色の砂漠
(2)噂のプレイボーイ
(2)噂のプレイボーイ
――アッ・サラーム アライクム――
アラビア語の挨拶が大きな横断幕に書かれて、空港ロビーに掲げられていた。
クアルンとアズウォルドの国旗がそこかしこに下がり、ロープの向こうでは国民たちが小さめの国旗を振っている。
その中には舞のことを意識してか、日本の国旗もあった。
出迎えにはなんと国王夫妻が空港まで来てくれたのだ。
青い瞳が印象的なレイ国王は、見るからに優しそうで落ち着いた大人の男性である。ミシュアル国王の髪が焦茶でビター風味のチョコレート色なら、レイ国王の風に靡く柔らかそうな髪は甘いミルクチョコレートの色をしていた。
パンフレットで見るより背も高いし体格もいい。
だが、彼の前に立ち握手を交わすミシュアル国王と見比べると……。
(やっぱりアルのほうがカッコいい~)
舞はニカブに隠れて口元を綻ばせた。
すると、背後から女官がスッと歩み寄り『アーイシャ様、陛下のお呼びです』。舞はハッとして顔をあげ、ミシュアル国王の傍まで行くのだった。
『妃のアーイシャである。二週間の滞在に許可を与えてくれたレイ国王に対して、感謝を述べたいと言っている』
(えっ? そ、そんなこと言った?)
何だかよく判らないが、感謝を述べないといけないらしい。舞はバクバクする心臓を宥めつつ、レイ国王の前で手を合わせて一言だけ口にする。
『ありがとうございます』
――アッ・サラーム アライクム――
アラビア語の挨拶が大きな横断幕に書かれて、空港ロビーに掲げられていた。
クアルンとアズウォルドの国旗がそこかしこに下がり、ロープの向こうでは国民たちが小さめの国旗を振っている。
その中には舞のことを意識してか、日本の国旗もあった。
出迎えにはなんと国王夫妻が空港まで来てくれたのだ。
青い瞳が印象的なレイ国王は、見るからに優しそうで落ち着いた大人の男性である。ミシュアル国王の髪が焦茶でビター風味のチョコレート色なら、レイ国王の風に靡く柔らかそうな髪は甘いミルクチョコレートの色をしていた。
パンフレットで見るより背も高いし体格もいい。
だが、彼の前に立ち握手を交わすミシュアル国王と見比べると……。
(やっぱりアルのほうがカッコいい~)
舞はニカブに隠れて口元を綻ばせた。
すると、背後から女官がスッと歩み寄り『アーイシャ様、陛下のお呼びです』。舞はハッとして顔をあげ、ミシュアル国王の傍まで行くのだった。
『妃のアーイシャである。二週間の滞在に許可を与えてくれたレイ国王に対して、感謝を述べたいと言っている』
(えっ? そ、そんなこと言った?)
何だかよく判らないが、感謝を述べないといけないらしい。舞はバクバクする心臓を宥めつつ、レイ国王の前で手を合わせて一言だけ口にする。
『ありがとうございます』