紺碧の海 金色の砂漠

(13)恋はスコールのように

(13)恋はスコールのように



コテージに車を横付けし、舞とティナは中に駆け込んだ。

突然の雨、これをスコールと言うらしい。雨季に入ったので数ヶ月は続くとティナが説明してくれた。


「マイ、大丈夫?」

「あ、はい。大丈夫です……たぶん」
 

幾分心もとない返事だ。しかし、全身が濡れネズミの状態ではそれも仕方ない。雨に濡れたことくらいあるが、グレーのカーテンが引かれたようなスコールは初体験だった。

ティナも同じようにズブ濡れだが、さっさと奥に入り舞を手招きする。


「シャワーはそこ、ワードローブはこっちよ。私のほうが背が低いから、少し小さいかも知れないけど……」


縦もそうだが、横もワンサイズ違う気がする。ティナから借りた服が、ファスナーが上がりません、なんてことになったら赤っ恥もいいところだ。


(こんな時こそアバヤが欲しいな……アレって万能だし)


舞の期待とは裏腹に、ティナは若い舞に似合う服を、とアレコレ選んでいる。

結局、エスニック柄の五分袖チュニックとロングスカートという、庶民的な組み合わせを舞は選んだ。

サラサラのインド綿が肌に心地好かったし、スカートのウエストがゴムなのも気に入った。ティナだとくるぶし近くまで丈がありそうだが、舞にはふくらはぎ辺りまでだ。

なんとなく、あまり露出がない方がミシュアル国王が来た時に無難かな、と思ったのが本音である。


(ご機嫌取ってるみたいでちょっと悔しいけど……)


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