紺碧の海 金色の砂漠
「わかった。君を信じよう」

「――感謝する」

「だが、森の向こうは海ではないのか? そのコテージが海岸沿いに建っているなら、高波に攫われる危険があるのではないか?」
 

ミシュアルの尤もな疑問に、レイは安全性と救出に向かう問題点を口にした。


「……というわけで、海からの脅威に対してコテージは安全だ。だが、こんな長時間続くスコールは稀だと言える。おそらく、ここ数年の天候異常の一つだろうが」


コテージは元々、自家発電のシステムを採用していた。その自家発電装置の故障で電源が落ちたのだろう。

しかし状況がわからない以上、一刻も早くふたりを救出する必要がある。

ところが、森の中の一本道は崖崩れで使えない。さらにはこのスコールで地盤が緩み、他の場所も崩れる危険性が出て来た。この状況で迂闊に森を抜けようとするのは二次災害を招く恐れがある。

本来、コテージのある入り江には空からが一番の早道なのだ。

しかし、王室ヘリに夜間飛行の装備はなく、軍用ヘリを使うにしてもスコールが止むまで飛べないという。


「ではどうするつもりだ? 指を咥えて見ているのか。それとも、雨がやむよう神に祈るか?」


舞が土砂の中にはいないと聞き、若干の余裕が生まれたミシュアルはレイを揶揄した。

すると、レイも余裕の笑みを浮かべ……。


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