紺碧の海 金色の砂漠
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内心、無駄だよね、と思いつつ、舞はティナに傘を差しかけた。

ふたりは土砂降りのスコールの中、コテージの裏までやって来た。

ティナが言うには、そこに自家発電機が置いてあるのだという。


(なんか……年季の入った建物というか、やっぱり小屋?)


ティナが「裏の小屋にあるはずよ」と言った時、“小屋”はあんまりだろう、と思ったが……謙遜じゃなかったらしい。

コテージより一階分低い場所に、木で作られたまさしく“掘っ立て小屋”がある。


「何度も修繕はしているのよ。でも、コンクリートで囲んでしまうと風情がなくなるって、レイが」


ティナは言い訳をしていたが……。

小屋の屋根は見事に吹き飛び、まるで巨大なバケツ状態になっている。発電機が水浸しではハッキリ言って使い物にならない。


それでもティナはどうにかしようと思ったのか、木のドアを開けようとする。


「待って! 大量の水が飛び出して流されちゃったら大変ですよ。諦めましょう」

「でも……電気がないと連絡が取れないわ。公用車で来ていたら無線を積んでるんだけど」


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