紺碧の海 金色の砂漠

(15)プリンセスの願い

(15)プリンセスの願い



(――正気の沙汰ではない)


ミシュアルは巡洋艦ハイドレンジアの上から、荒れ狂う大海原を見つめて呟いた。

彼らは巡洋艦に乗り、入り江と外海を隔てた岸壁が見える位置まで来ていた。これ以上は近づけないと言い、小型のモーターボートが下ろされる。レイたちはそのモーターボートで入り江に繋がる回廊付近まで行くと言う。

ミシュアルの目にそれは、どう考えてもまともな手段とは思えなかった。


「レイ……多くを尋ねたくはないが……。まさか、その小船でこの荒波を漕いで行くつもりではあるまいな?」

「小船とは失敬だな。着岸用のモーターボートだ。十人乗りでどれだけ波を被っても沈まない設計になっている」


そう言いながら、レイを含む十名が潜水服に着替えボーターボートに乗り込む準備を始める。


「待て。国王自ら行くつもりか? なんという危険な真似を――どうして誰も止めぬ!」

「当たり前だ。私の潜水技術は国内トップクラスだぞ。それに我々は、上陸作戦だけならネイビーシールズにも劣らない自信がある」


呆れるミシュアルとは逆に、レイをはじめ潜水チームの面々は余裕だ。
 

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