紺碧の海 金色の砂漠
「ここは砂漠ではないんだ、ミシュアル! 頼むから、余計な時間を取らせないでくれ。君の妻の顔を、私以外の男に見せないと約束する」
「無駄な説得に余計な時間を取るものではない。さあ、案内いたせ」
ミシュアルはさっさとモーターボートに乗り込もうとする。
その後ろを、青い顔をしたレイが追いかけてきた。
「これはスキューバダイビングではないんだ。エアボンベを持たず、私たちはフリーで潜る。君に万が一のことがあれば、国際問題に発展することくらいわかるだろう?」
「うるさい男だ。置いていっても同じこ……と」
不意に体が宙に浮いた。
見事に足元を掬われ、気付いた時には豪雨の降り注ぐ海中に叩き落とされていたのである。
ミシュアルが海面に顔を出した時、全員がボートに乗り込みエンジンをかけていた。そして、彼の真横に黒い浮き輪が投げ込まれ、数人の潜水士がミシュアル救助に飛び込んでくる。
いざとなれば手段を選ばないレイ国王のやり口に、巡洋艦の乗組員たちのほうが真っ青だ。
「――レイ! 貴っ様ーーっ!!」
ミシュアルは琥珀色の瞳に怒りの炎を滾らせ、レイを睨む。
「足手まといは御免こうむる。砂漠の王に出番はない。悪く思うな」
レイの最後の言葉は、ミシュアルの自尊心を強烈に揺さぶった。
「無駄な説得に余計な時間を取るものではない。さあ、案内いたせ」
ミシュアルはさっさとモーターボートに乗り込もうとする。
その後ろを、青い顔をしたレイが追いかけてきた。
「これはスキューバダイビングではないんだ。エアボンベを持たず、私たちはフリーで潜る。君に万が一のことがあれば、国際問題に発展することくらいわかるだろう?」
「うるさい男だ。置いていっても同じこ……と」
不意に体が宙に浮いた。
見事に足元を掬われ、気付いた時には豪雨の降り注ぐ海中に叩き落とされていたのである。
ミシュアルが海面に顔を出した時、全員がボートに乗り込みエンジンをかけていた。そして、彼の真横に黒い浮き輪が投げ込まれ、数人の潜水士がミシュアル救助に飛び込んでくる。
いざとなれば手段を選ばないレイ国王のやり口に、巡洋艦の乗組員たちのほうが真っ青だ。
「――レイ! 貴っ様ーーっ!!」
ミシュアルは琥珀色の瞳に怒りの炎を滾らせ、レイを睨む。
「足手まといは御免こうむる。砂漠の王に出番はない。悪く思うな」
レイの最後の言葉は、ミシュアルの自尊心を強烈に揺さぶった。