紺碧の海 金色の砂漠
ティナも舞と同じ心配をしていたらしい。だが、ティナのほうは本当に海に落ち、冗談では済まなくなるところだったのだ。

ティナは夜目にも頬を染めながら、「レイがね……助けてくれたの」と小さな声で言った。


「さっすがー! ヒロインのピンチに駆け付けてこそヒーローよね!」


と言いつつ、自分のヒーローはどうなったのだろう、と考える。


「アーイシャ殿が無事で何よりです」


レイ国王はそう言うと浜辺に向かって歩いた。海から上がってくる潜水服を着たダイバーたちに、何ごとか命じ始める。

舞は濡れるのも構わず、


「レイ陛下! あの、アルは……ミシュアル陛下はどこに」


レイ国王にミシュアル国王のことを尋ねようとした。

しかし、彼は慌てた様子で舞をコテージに押し戻そうとする。


「アーイシャ殿、こちらに出てきてはいけない。妻のそんな姿を他の男が目にしたことを知れば、彼に決闘を申し込まれかねない」


舞は丸出しになっている太腿に気付くと、慌てふためきスカートの裾を下ろす。

レイ国王は海のほうに視線を向けながら、


「シーク・ミシュアルは巡洋艦で待機して貰っています。スコールが止み次第、ヘリで来るは、ず」


そこで彼の言葉が止まり、紺碧の瞳を見開いた。


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