か・せ・こ・く・い
私とごんの散歩コースは日によって違う。
ごんが行きたい所に連れて行ってあげる。
「今日はこっちに行くの?」
ごんは迷いもなく、近くの土手の方に向かった。
こっちは数回しか来たことない。
なにかあったのだろうか…。
そんな疑問しか出てこない。
ごんは土手に上がると、ゆっくり私の横について歩いた。
私はこの土手が好き。
土手の下には春らしい菜の花が咲いていて、人がいっぱいいる。
土手の道には散り始めた桜。
ここはなぜか落ち着く。
私は桜を見ながらふと豊のことを思い出す。
逢いたい。
逢いたい。
逢いたい。
そんな言葉しか出てこない。
一番大切な人。
その言葉を思い出すと切なくなる。
本当はまだ初恋の彼のこと忘れてない。
忘れられない。
また逢えたらいいね。
「ワン!」
「ごんどうした?」
我に返り、ごんの方に視線を向ける。
ごんは前を向いて、吠えている。
私もごんと同じ方を向く。
「「あっ」」
ふたりの声は重なった。
「豊?」
「侑香里?」
「なんで豊が?」
「侑香里こそ…」
ごんが行きたい所に連れて行ってあげる。
「今日はこっちに行くの?」
ごんは迷いもなく、近くの土手の方に向かった。
こっちは数回しか来たことない。
なにかあったのだろうか…。
そんな疑問しか出てこない。
ごんは土手に上がると、ゆっくり私の横について歩いた。
私はこの土手が好き。
土手の下には春らしい菜の花が咲いていて、人がいっぱいいる。
土手の道には散り始めた桜。
ここはなぜか落ち着く。
私は桜を見ながらふと豊のことを思い出す。
逢いたい。
逢いたい。
逢いたい。
そんな言葉しか出てこない。
一番大切な人。
その言葉を思い出すと切なくなる。
本当はまだ初恋の彼のこと忘れてない。
忘れられない。
また逢えたらいいね。
「ワン!」
「ごんどうした?」
我に返り、ごんの方に視線を向ける。
ごんは前を向いて、吠えている。
私もごんと同じ方を向く。
「「あっ」」
ふたりの声は重なった。
「豊?」
「侑香里?」
「なんで豊が?」
「侑香里こそ…」