か・せ・こ・く・い
「おーい!!アイツ来るから皆ドア封じて」
クラスの中心的存在の男子が声を出す。
皆はドアを閉め、ドアの前に立つ。
葵がどちらかのドアを開けてもいいように半分に分かれる。
彩香は私の腕を引っ張る。
輪の中に入ってしまった。
ちょっと心が痛い。
「来るぞ!!」
皆は静まりかえった。
「えっ…」
葵は机を見たのだろうか…。
声を上げる。
クラスの中にはクスクス笑って、叩かれてる男子もいる。
ガラガラガラ。
葵が教室の中に入ってきた。
皆は朋を鋭い視線で睨みつける。
私はそんなこと出来なくて、うつむいていた。
「あの…そこどけて?」
「来んじゃねぇよ!!」
朋は涙目だった。
可哀想…。
そう思ったのは私だけなのか…。



葵は保健室にいたのか、午前の授業には来なかった。
「今日の作戦大成功だったね」
一緒にお弁当を食べていた彩香とクラスの女子は盛り上がっていた。
私はひとりテンションが上がらず、静かにお弁当を食べる。
「侑香里?」
「うん?」
「元気ないけど…大丈夫?」
「うん…」
「それでさぁ…」
またいじめの話。
皆もたぶんいじめの話をしている。
私は携帯をチェックする。
すると、葵からメールが来ていた。
「from 葵
 件名 なし
 本文 体育館の倉庫に来て!!」
私は不安になり、皆にメールを見せる。
「うわっ!気持ち悪っ」
「侑香里は行く?」
「まぁ一応」
「なにがあったか教えてよ?」
「うん」
私は携帯を持って、皆に手を振った。
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