か・せ・こ・く・い
次々と女子が発表されていく。
残されたのは侑香里だけだ。
「続いて最後になります、二年五組の宮堵侑香里さんと一緒に泊まれる人は…」
こい。
こい。
こい。
神様。
俺に運を!!
運をくれ!!
「三年一組の佐野雄大くん!!おめでとう」
えっ…。
なんで?
なんで俺がなれねぇんだよ!!
俺が一番侑香里と近い存在なのに…。
なんで?
そんな疑問しか出てこない。
雄大先輩は一緒にしたらダメだ。
絶対侑香里を襲うに違いない。
でも、他の部屋には出入り禁止だから守ってやることもできない。
俺に立場はないのかよ…。
侑香里が雄大先輩となることを聞いた皆。
『マジかよ~』とか『俺なりたかった』とかで…。
俺はそんなことより侑香里の身が心配だった。
別に雄大先輩が女遊び激しいわけじゃないが…。
前から目をつけていたって言ってたし…。
一緒にしちゃダメ。
絶対に…。



「おいっ!!なんで侑香里ちゃんが雄大先輩と一緒なんだよ!!」
昼休憩。
俺は野球部の部員と弁当を食べていた。
「雄大先輩って前侑香里ちゃんを襲ってたんだろう?」
「ヤバくね?侑香里ちゃんが取られる…」
「なんとかしなきゃな…」
俺らが愚痴混じりの会話をしていると…。
「もしかして…俺と侑香里が一緒になったの嫉妬してる?」
雄大先輩が会話に入ってきた。
「違います…。でも、侑香里を襲うのだけはやめてくださいね?」
「えっ?お前らには関係ねぇだろ?俺が侑香里を襲ってセックスしたっていいだろ」
雄大先輩は俺の耳元で「侑香里は俺のもんだ」と言った。
俺の体は怒りに満ちていたが…。
殴れなかった。
俺は侑香里の彼氏じゃない。
だから…。
だから…。
俺って情けねぇ?
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