か・せ・こ・く・い
屋上に着く。
確か屋上は生徒立ち入り禁止だ。
「入っていいの?」
「あぁ。まぁ鍵持ってるし」
「なんで!?」
「うーん…色々あるんだよ」
豊くんはポケットから鍵を取り出し、ドアを開ける。
―ガチャ。
確かに屋上の鍵だ。
なんで豊くんが持ってるのだろう…。
「聞いてる?」
「えっ?」
「やっぱり」
「なになに?」
「あのさぁ…なんて名字?」
「えっ?」
豊くんが聞いてることの意味が分からなかった。
もしかして……私の名前知らない!?
「だ・か・ら名字なんて言うんだよ!!」
「えっ…宮堵」
「キュート?」
「宮っていう字に堵で宮堵」
「可愛いなぁ」
豊くんは私の頭を撫でた。
なんでだろう…。
なぜかドキドキした。
今まで頭なんか何回も撫でられてるのに…。
豊くんだけ特別な感じがした。
頭を撫でられてるのじゃない別の感覚。
「じゃあ侑香里って呼んでいい?」
「えっ?あぁ…うん!!」
「俺のことは豊って呼んで?」
「うん」
豊とちょっと距離が縮んだ気がする。
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