か・せ・こ・く・い
それから午後の授業、部活が過ぎていくのはあっという間だった。
「今日さぁ、豊と一緒に帰るんだぁ」
部活が終わり彩香とふたりきりだったから自慢した。
「なんで!?」
「あのさぁ…」
私は彩香に今まであったことを全部話した。
「へぇ。今日から仲良くなって一緒に帰るってすごいねぇ」
「うん!!私もびっくりだよ」
「もしかして…豊くん侑香里のことが好きなんじゃない!?」
「えぇ!?んなことないよ!!」
「本当にそうだったりして」
そう言って彩香はひとりで笑っていた。
もし、そうだったら私はどうするのだろう…。
付き合うのかなぁ?
「侑香里?」
「うん?」
「野球部そろそろ着替え終わるから豊くんの所に行ってあげたら?」
「そうだね」
「じゃあ頑張って!!」
「うん!!」
私は鞄を持って野球部の部室に向かった。



前には来たものの…。
男子しかいないから話しかけれない。
私が部室の前で戸惑っていると…。
「女の子がひとりで、なんか用?」
野球部の部室から男子がひとり。
ちょっと容貌が怖い。
たぶん先輩だぁ…。
「あ、の…豊くんって…いますか?」
私はガチガチに緊張した。
「あぁ、豊?豊はまだグラウンドだけど…彼女?」
先輩はデリカシーというものがないのかなぁ?
ってそんなこと思っちゃダメだよね…。
ここは素直に答えとこう。
「いえ!!違います…。今日一緒に帰ろうって言われて」
「へぇ~。豊って意外に奥手だと思ったら女遊び激しいんだな」
「いや…」
「まぁいいや。君なんていう名前?」
「宮堵侑香里です」
「宮堵!?珍しい」
「よく言われます」
「俺、雄大っていうから」
すると雄大先輩は私の手を引っ張り抱きしめた。
「豊より俺の方がいいと思うけど?」
耳元で囁かれて体が反応する。
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