人生はドラマである
苦労人翼
僕が一歳の時、パパが交通事故で天に召された。
それから僕は、ママの手ひとつで育てられた。
物心つかないうちに片親になった僕は、ある意味幸運だ。
だって、両親そろった記憶がないのだ。
寂しいとか、懐かしいとか、そんな感情さえも湧いてこない。
そもそも、お金さえあれば子供にとって父親の存在なんてどれほどのものなのだろう?
勝君のお父さんは、海外赴任でもう二年も日本に居ないし、美沙ちゃんのパパは養育費をきっちり払ってくれる良い人なんだって。
だから僕は、ママと二人の生活に何の疑問も持たず、母一人子一人の甘い生活を心地よく受け止めていた。
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