龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
空中がグニャッと歪んで、わたし達はその中に飛び込んだ。

ぐるぐると目眩がする。

でもそれは一瞬の事で、気づいたら、わたしは階段下の廊下に座り込んでいた。


美幸が泣きながら階段を駆け降りて来るのが見えた。

大輔くんが、心配そうにわたしを見下ろしている。


目の前で指がパチンと鳴った。


「しづ姫?」

悟くんがわたしの横にいる。

「大丈夫? どこか痛む?」


「足」

わたしはノロノロと答えた。

「右の足首、捻ったみたい」


悟くんは制服の上着を脱いでわたしの脚にかけた。


「保健室に行くよ。僕の首に腕をかけて――はい、はい、みんなどけて」


げっ! お姫様抱っこ、恥ずかしいんですけど


「大輔、司兄貴を呼んで来てくれ」


「了解」


「よくやったな」

悟くんはサラリと言った。

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