龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
悟くんの肩越しに振り返ると、大輔くんは照れ臭そうにニヤリと笑った。


やっぱいいな、兄弟って


「どうして階段ダイブしようと思ったの?」

悟くんが聞いた。


「階段を踏み外したの」

誰かに押されたなんて言ったら、大騒ぎになる。


「間に合わないかと焦ったよ。大輔にあんな芸当が出来るとは思わなかった」


悟くんは保健室の前まで来ると、ドアを足で蹴った。


「せんせ! 開けて!」


もう一回、ドアを蹴る。


「やかましいわっ!」

ドアがガラッと開いた。

「ドアを蹴るな、馬鹿者」


保健室の先生は、4月に来たばかりの女の先生だ。

美人だけれど、ちょっと男っぽい。


「蹴るなんて、まさか。ノックしただけですよ」

悟くんは天使のような笑顔で言った。


嘘つき

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