龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
先生はわたしの顔をジロッと見ると、『どうした?』と聞いた。


「右の足首を捻ったみたいで、痛いです」

わたしは小さな声で答えた。


「入って。そこのベッドに座らせて」

先生はドアの前から中に下がった。


悟くんは、わたしを慎重に下ろした。


先生はわたしの前にしゃがんで、足首を確認した。


「捻挫だね。腫れ始めてる。靴と靴下、脱がすよ」


「はい」


「それと君」

先生は悟くんを見上げて言った。

「授業でしょ? もう行きなさい」


「ゴメンね、せんせ。言いにくいんだけどさ、兄貴が来るまで持ち場を離れるわけにはいかないんだよね」


「お兄さん?」


「校長だよ。もう来ると思うけど」

悟くんはわたしの横に座った。

「ああ、来た」


先生は疑わしげな顔をした。

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