龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「先生もここを好きになりたいな」


笑顔の裏に孤独の影を見た気がした。

羽竜家に来るまで、毎朝わたしが鏡の中に見たものと同じだ。


「先生は一人でも平気なタイプ?」


「そうだね。一人で何でもやっちゃうタイプだよ」


「先生、わたしに似てる。本当は寂しがり屋でしょ?」

わたしは痛くない方の足をブラブラさせながら片岡先生を見た。

「わたしね、前は人といるのが苦手だった。誰といても、他の人にはわたしよりも大事なモノがある気がしたの。だから一人でいた」


片岡先生は何も言わずに目で先を促した。


「人といる方が寂しさを感じたの」


「今は違うの?」


「今はね、恋をしているから寂しくない」


先生は目を丸くしてから、『まいった!』と苦笑いを浮かべた。


「見抜かれたか。先生は失恋してこの町に来たの。寂しくてどうにかなりそうでね。内緒だよ」


わたしは頷いた。


「さっきの子が彼氏?」

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