龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「こんにちは。三田志鶴の保護者です」

圭吾さんが片岡先生に挨拶をした。


「こんにちは。えーと、お兄さん?」


「従兄です」

わたしが答えるのと同時に、圭吾さんが『婚約者です』って言った。


「どっち?」

片岡先生が面白がるように聞いた。


圭吾さんがわたしをジロッと見る。


はいはい

分かったわよ


「従兄で、婚約者です」

わたしは言い直した。


「捻挫だと思うんですけど、念のため病院に連れて行って下さいね」

片岡先生はテキパキと言った。

「右足は腫れているんで、靴は履けません。ここのスリッパを使って下さって結構です」


「痛む?」

圭吾さんが心配そうにわたしの足元を見る。


「たいして痛くない。ちょっと階段を踏み外しただけだもん。先生、スリッパ借りてくね」


わたしは、右の上靴を片手に立ち上がった。

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